バゲット

バゲットとバタールの違いって?

フランスパンといえば写真のようなこの形を想像するのではないでしょうか。

ではこのパンは「バゲット」ですか?「バタール」でしょうか?

2つの違いってなんでしょう?味や素材に違いはあるのでしょうか?

実はそこにはルールがあったのです。

 

「違いは太さと長さ」

 

結論から入ってしまいますが、バゲットとバタールは太さと長さが違います。

「杖・棒」という意味を持つバゲット(baguette)は小麦、水、塩、パン酵母のみで作る「パン・トラディショナル」と呼ばれる製法の代表格と言えるパンです。全長が70cmほどあるのが特徴で、細長いため外側の硬い部分(クラスト)が多く、パリパリとした食感を楽しむためのパンと言えます。

バゲットに入っている斜めの模様のような形はクープといって、生地の段階で入れておく切り込みです。焼く時に生地に火が通りやすくする、圧力を逃し生地が均一に膨らむようにするといった役割があります。

バゲットのクープ

かつてフランスではバゲットの形状に規定がありました。クープ(切込み)は7本、重さは350gと決められていましたが、現在では厳密な規定はなく、お店ごとに特徴のあるバゲットが売られています。

 

フランス語で中間を意味する「バタール」(batard)はバゲットとドゥ・リーブルの間の太さ、という位置づけです。バゲットよりバタールのほうが短く、ちょっと太いです。

標準的には40cm前後、クープは3本程度の大きさです。素材や製法は全く同じですが、バゲットより短い分だけパン生地が太く、柔らかい部分が広いのが特徴。バゲットがクラスト(パンの耳)を楽しむのに対してバタールはクラム(白くて柔らかい部分)を楽しむパンで、ジャムやバターをつけたりスープの付け合せ、サンドイッチなどに向いています。日本で売られているフランスパンはどちらかというとバタールのほうが多いようです。

 

「フランスパンはなぜこの形になったの?」

 

細長いフランスパン、実はパン職人達の労働条件が関係していました。

それまでのパンは焼くまでに時間がかかり、しかも朝食に間に合わせる必要があることから職人達は夜中から翌日の昼過ぎまで長時間働かなくてはなりませんでした。この労働条件を1920年代に改善しようということになり、発酵も焼きも短時間で作ることができる棒状の細長いパンが発明されたのがバゲットの始まりです。

現在のフランスでも労働法の改正により週の労働時間の上限が短くなったことや、重労働を敬遠される向きが影響して新しい製法が開発されています。冷蔵発酵といって生地を冷蔵庫で一晩寝かせる製法です。これなら職人さんは前の日に成形までしておけば翌日は焼く所から仕事を始められる上、一日中暑い部屋で発酵を管理する必要もないわけです。発酵に時間のかかる種類のパンを朝イチで焼けるというメリットもあります。

時代と環境によって技術も進歩しているのですね。

ドゥ・リーブル

「バゲットやバタールの兄弟たち」

 

フランスパンはもちろんこの2つだけではありません。似たような兄弟のパンたちをご紹介します。

パリジャン(parisien)はバゲットよりもちょっと大きく、長さと太さを持った大きなパンです。正式名称はパン・パリジャンといって「パリのパン」という意味があります。もともとはバゲットよりもこちらが主流で、現在も多く売られています。クープは5本入れるのが特徴。

バタールが中間ということは、バゲットとバタールの他にもうワンサイズありますよね?それがドゥ・リーブル(deux livres)です。

ドゥはアン・ドゥ・トロワのドゥ、つまり2を意味します。ドゥ・リーブルは2ポンド(約900g)の意味を持ち、850gで55cmとずっしりとした重みを持っています。

長さ
バゲット>ドゥ・リーブル>バタールですが

太さ
ドゥ・リーブル>バタール>バゲットとなります。これがバタール(中間)の由来です。

生地が太く重いので水分を多く含み、食感がもっちりしているのが特徴。時間が立つと乾燥してしまうので買ったその日のうちに食べきりたいパンです。

フランスパン

「フランスパンの種類は多彩」

 

今回は棒状のフランスパンについてご紹介しましたが、もちろん他にも多彩なパンがたくさんあります。一見すると同じように見えるパン達ですが個性がありますね。

さらに、お店や地方の製法によって生地の密度や固さに違いがあり、同じ種類でも少しづつ味わいも違ってきます。好みに合った焼き具合のお店を見つけるのもパン愛好家の楽しみの一つではないでしょうか。